尿もれ・腰痛・便秘に
フランス発! ガスケアプローチ! ~後編~

尿もれ、腰痛、便秘に効く!として話題の、“ガスケアプローチ”。前編 に引き続き、ガスケアプローチを考案したベルナデット・ド・ガスケ医師にSo Da Tsu編集部Y子がお話を伺います。

前編はコチラ

体全体へのグローバルなアプローチ方法

―先生の経歴を拝見すると、47歳で医師になったとあり、ちょっと意外でした。なぜ医学の道に入られたのでしょうか?

ベルナデット・ド・ガスケ医師

ベルナデット・ド・ガスケ医師

医師になる前は、妊婦にヨガを教えていたんです。あるとき、分娩について話をすることになって。図書館で、動物のお産に関する報告書や、文化人類学的な資料を探しました。すると、今の出産のスタイルは、昔とまったく逆であることを知って。

現代産科学では、母親たちはみんな仰臥位(仰向け)で、そのまま固定されて出産に臨むことが多いでしょう。それでは、赤ちゃんは重力に逆らうようにして、不自然な状態で生まれてくることになります。妊婦も医者も動かず、赤ちゃんだけが一生懸命に動いて、全てをこなさなければいけない…。これではいけない! と思いました。

でも、私は医学的な用語を何も知らないし、医者ではないから説得力もない――。だから医学を学ぶことにしたのです。

すると、これまでペリネ(骨盤底筋)は、子宮などの臓器を支えるのに、ハンモックのような形をしていると言われていましたが、まったく逆の形だということがわかりました。それまでは生きている状態で観察することができなかったから、わからなかったのです。それが、最新の機器を使うことで、むしろ上からの臓器の圧力に抵抗する、お椀を伏せたような形だと知ることができたのです。

旧来のハンモック型と、新たに分かったお椀型のペリネ(骨盤底筋)

旧来のハンモック型と、新たに分かったお椀型のペリネ(骨盤底筋)

―私も今日ガスケ先生に会うまで、ペリネはハンモック型なんだと思っていました。それが、お椀のようなカタチ…?

そうです。お椀を2つ並べたような形をしています。その山型の曲線の上に臓器が位置しているのです。

とにかく、レントゲンやスキャンを撮って研究を重ねました。骨盤がどうなっているのか? どう動くのか? 娘に協力してもらい、彼女のMRIを撮って 横隔膜と臓器との関係を実際に目で見て確かめるということもしました。バイオメカニック(生物力学)に基づいているのが、ガスケアプローチの強みなのです。

―科学的根拠を持っているのが、ガスケアプローチなんですね。

その通りです。この予防法を多くの人に伝えたいと思いました。まだ問題が起きていない人に対する予防、問題が悪化してしまうのを食い止める意味での予防、再発しないための予防として、ガスケアプローチを試してほしいと思っています。

また、ガスケアプローチは、ペリネだけでなく、同時に腹筋群、腰背部の不調など、体全体に働きかけるグローバルな方法です。ですから、尿もれだけでなく、腰痛や便秘なども改善していくのです。

生理的な働きを尊重した出産

―ガスケアプローチは、本場のフランスではかなり浸透しているのでしょうか?

産科の現場では、75%の施設でガスケアプローチの研修を終えています。それらの施設で100%実施されている、ということではありませんけれど。

たとえば、出産準備クラスでは、研修を受けた助産師がペリネにやさしい呼吸法を教え、みんなで練習したり、分娩時の体位のとり方を教えていきます。

―ガスケアプローチ流の出産って、どんなものか気になります!

妊娠中からなるべく腹圧のかからない、ペリネにやさしい生活を送ってもらえるよう指導をします。

出産の際に、四つん這いになりたい、横を向いた側臥位を取りたい、あるいはしゃがんだ姿勢がいいなど、ひとりひとり違った欲求を持つことには、必ず理由があるのです。本能的にフッととる動きや姿勢、自分が楽だと思える格好。そうしたことを尊重し、大切にしています。

それが、母子にとって最良のお産、最適な形で胎児が骨盤内を通過できる、生理的なお産につながるからです。

日本でも広まりつつあるガスケアプローチ

―ガスケアプローチについて、色々と学ぶことができました。最後に、SoDaTsu読者へメッセージをお願いします。

昨年末に、日本ガスケアプローチ協会が立ち上がりました。私だけでなく、協会のスタッフが助産師や医師に指導できるよう、現在育成しています。体制が整ってきたら、日本の皆様にもっと多くの機会を提供できるようになるでしょう。

私の出している本やDVDでは妊娠中・産後のペリネに効くエクササイズを紹介しています。まずはそういったところから、少しずつ知っていただければと思います。

―どうもありがとうございました!Merci beaucoup!

ガスケ先生の著書&DVD

フランス発 自分でできるペリネケア ガスケアプローチ 骨盤低筋トレーニングDVD

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<妊婦ケア編>  <産後ケア編>

2015年10月30日更新

ベルナデット・ド・ガスケ医師

プロフィール

ベルナデット・ド・ガスケ医師

1946年生まれ、パリ在住。医学博士、婦人泌尿器科的再訓練法有資格者、3児の母親であり、ヨガ指導者。47歳で医師となる。自らが構築した「呼吸と姿勢からのガスケアプローチ」は、バイオメカニクスの観点から様々な知恵と現代医学とを融和させ、産科領域だけでなく、人生のあらゆるステージに活用できる理論と方法論を展開している。

日本ガスケアプローチ協会

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