胎児の大きさ Q&A

Q1

「胎児が大きい。出産が大変かもね」と言われました。妊娠39週で3700gあるようです。

A

妊娠39週で3,700gというと、胎児発育曲線の上限を越えていますね。ただ、超音波の推定体重は±10%程度の誤差があるので、実際には、3,330g~4,070gあたりです。

赤ちゃんが大きい場合、もっとも心配なのはお母さんの妊娠糖尿病です。お母さんが高血糖になると、赤ちゃんにブドウ糖が必要以上に伝わってしまい、大きく育ちすぎたり、出生後に低血糖や呼吸障害、黄疸などの症状が出ることがあるのです。妊娠糖尿病かどうかは、妊婦健診の血糖値の検査でわかりますので、医師の指示通りに健診を受けましょう。

妊娠糖尿病でなければ、胎児が大きいのは個性。親からの遺伝的な要因が大きいので、赤ちゃんの健康状態に心配はありません。

ただ、4,000gを超えると難産になる率が上がります。もちろん、何のトラブルもなく経膣分娩できる人も多いのですが、帝王切開に切り替える場合もあります。分娩がスムーズにできそうかどうか推測するためには、胎児推定体重だけでなく、頭や腹部の計測数値を参考にすることもあります。お産の進行は胎児の大きさだけできまるものではありません。

出産方法については、お母さんの体格や、施設や医師の方針によって判断が異なるので、主治医とよく相談しましょう。

(回答/産婦人科医 篠塚憲男先生)

篠塚憲男(しのづか・のりお)先生

プロフィール

篠塚憲男(しのづか・のりお)先生

胎児医学研究所代表/医学博士/産婦人科専門医 /超音波専門医・指導医/臨床遺伝専門医
浜松医科大学卒業後、東京大学医学部、米コーネル大学留学、帝京大学産婦人科学教室講師を経て、現職。 超音波検査による胎児体重の測定法や胎児発育曲線などを開発。超音波検査機器の開発監修なども務める。
経済産業省「どこでもMY病院構想 周産期小児ネットワーク実証事業(H23−H24)」に参画。瀬戸病院(所沢市)にて、胎児の疾患の検査や出生前診断・セカンドオピニオンの外来を行う「特殊超音波外来」を担当(月・水、完全予約)。

胎児医学研究所
瀬戸病院

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