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ネパール 子どもの通過儀礼を重んじる(全4回更新)

Episode4 ネパールの子育て支援

~子どもに優しい新たな国づくりに期待~

医療、教育制度は…

公立小学校の5年生の教室。

公立小学校の5年生の教室。

ネパールには国民健康保険や義務教育の制度はありませんので、医療費、教育費は基本的に自己負担です。公立(10年制)の小学校5年生までは授業料は無料、教科書も無償配布されますが、文具や制服は各家庭で用意します。公立と私立の大きな違いは教授言語です。公立は英語以外はネパール語、多くの私立校では国語であるネパール語以外は英語で授業が行われています。都市部では私立の学校へ進学させたい意向が強く、特にカトマンドゥではエリート学校への志願者は2~30倍の高い倍率となっています。

私立はそれなりに授業料も高額ですが、親たちは多少の無理をしてでも出来るだけ良い教育をと願います。学校のカリキュラムにないアートや音楽、ダンス、空手やテコンドーなどの習い事も人気で、毎日の送り迎えもなかなか大変です。夫婦の協力、連携は不可欠で、父親が自転車やバイクに子どもを乗せて走る姿を朝夕見ますね。

公立小学校の5年生の教室。

公立小学校の5年生の教室。

無料キャンペーンで集合!

海外NGOのクリニック兼リハビリテーションセンターの患者とその家族。

海外NGOのクリニック兼リハビリテーションセンターの患者とその家族。

公的福祉として、しばしば国際機関や保健省、地域の協力で予防接種やビタミン剤服用の無料キャンペーンが行われています。昨冬はMR予防接種が地域のお寺やコミュニティーセンターで大々的に行われていました。保健婦さんらのチームが訪れた子どもに次々と接種しますが、問診や接種記録を持たないため、すべて各自で記録しておく必要があります。

ポリオに関しては「5歳までに何度でも」というキャンペーンが度々行われ、経口生ワクチンが使用されています。学校内で行われていた集団接種は、最近は行なわれなくなってきているようです。

海外NGOのクリニック兼リハビリテーションセンターの患者とその家族。

海外NGOのクリニック兼リハビリテーションセンターの患者とその家族。

“子だくさん”が社会問題!?

農村で水浴びをする子どもたち。多くの家庭にはバスルームがありません。

農村で水浴びをする子どもたち。多くの家庭にはバスルームがありません。

日本にはまずない福祉サービスのひとつとして、男性の輸精管を人工的に切断する避妊処置、いわゆる「パイプカット」や女性の卵管結束があります。これらは指定クリニックで無料で手術を受けられます。特に農村部では一家庭の子どもの数が増えすぎ、十分な食事と教育を与えられない、貧困の原因となっていることから勧められています。以前お手伝いに来てくれていた女性は、4人の子持ちでしたが、定期的に病院に避妊注射を受けに行っていました。ファミリープランニングと呼ばれる家族計画教育も実施され、計画的で安全な妊娠、出産を、と呼びかけています。それでも子沢山の家族がまだ多い印象です。

都市部と遠隔地では子育ての環境に大きな違いがあり、どちらもそれぞれ問題を抱えているわけですが、少しずつ向上してきています。2008年に、約240年続いた王制が廃止され、民主共和制となったネパール。今年秋には2度目の制憲議会選挙が行われようとしていますが、是非とも新政府には子どもに優しい社会を実現して欲しいですね。

農村で水浴びをする子どもたち。多くの家庭にはバスルームがありません。

農村で水浴びをする子どもたち。多くの家庭にはバスルームがありません。

2013年11月1日更新

プロフィール

うえのともこ

旅行→留学→結婚のステップを踏み、ネパールのカトマンズに在住。ネパール語学科留学中にパートナーと立ち上げた旅行会社にて企画、リサーチ&コーディネートする傍ら、雑誌などに執筆も行う。未整備のインフラのおかげで?自然に即したエコ生活を楽しみながら、ネパールを主婦的目線で見つめたコラムやエッセイを綴る。家族は、ネパール人の夫と、11歳と5歳の男の子。

Twitter ID:shantiweb
ブログ:ネパール子ちゃんの ナマステ旅案内♪♪

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