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現役の産婦人科医が明かす、面白くって大まじめな、産む医学のお話。産む不安真っ最中の人も、いつか産もうという人も、必読のエンタ−ティメント論文です。
小川先生
小川博康
(おがわ・ひろやす)
日本医科大学卒業後、同大学産婦人科学教室入局、同大学付属病院に勤務。横浜赤十字病院副部長などを経て現在、小川クリニック副院長の職に就く。大学病院勤務中に、双胎一児死亡の死児取り出し手術、子宮内胎児交換輸血など、世界で1例しか成功していない手術の主治医。産婦人科とともに胎児診断、胎児治療を専門とする。今までに行ってきた特殊治療を、日常診療にフィードバックしたいと考えている。医学博士。
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妊娠反応が陽性なのに、
なぜ“オメデトウ”ではないの?


 前回、受精から着床、そして妊娠反応が陽性にでるメカニズムを説明しました。それでは妊娠反応が陽性にでたら一安心「オメデトウ」なのでしょうか。答は「否」(ノー)。「オメデトウゴザイマス」は妊娠反応陽性だけでは絶対に言ってはいけないのです。
 つまり妊娠反応が陽性というだけでは正常妊娠という判断(診断)はできないのです。なぜなら妊娠反応陽性になる病気があるからです。
 以下の3つが、代表的な疾患です。
  1. 子宮外妊娠
  2. 流産
  3. 胞状奇胎(ほうじょうきたい)
初診で確認することは何?

 私たちDr.は、初診ではまず、
  1. 胎ノウが子宮のうちに確認できること。
    これで子宮外妊娠との区別をする。
  2. 胎児心拍が胎ノウの内に確認できること。
    これで流産(胎芽‘たいが’が育っていない)でないことを確認する。
  3. さらに胎ノウの形や周囲の画像の異常を確認すること。
    これで、胞状奇胎や流産でないことを確認する。
 この順番で子宮内の正常妊娠であることを診断し、「オメデトウゴザイマス」と患者さんに言えるのです。さらに、日をおいて(1〜2週間)、再度B-Scopeを見て胎児の成長を確認して「本当によかったね」となるのです。
 もし、妊娠反応が陽性だけで「オメデトウ」と言ってしまい、Dr.が気を抜いていた患者さんが子宮外妊娠だったらどうなるでしょうか。胎芽だけでなく患者さんの生命も危険にさらされてしまいます。
 また「オメデトウ」と言われて喜んでいる患者さんの胎芽が育っていなかった時の気持ちはどうなるでしょう。

産科学もサイエンスです

 正しく検査を進めていき、その情報をシステマチックに、理論的に組み立てて診断していくのです。
 妊娠はすべて何事もなく進んで、自分だけにはトラブルが起こらないで順調にお産まで過ごしていけるとは絶対に思いこまないでください。
 今の自分の体の状態を正しく理解して、自分の自然を大切に妊娠生活を送っていく。この気持ちを妊娠の初期から大切にしてください。
 妊娠のトラブル、お産、産後の母児の状態――これは病院の管理、テクニック、方針の差や患者さんの問題意識のレベルの差によって、まったく別個の経過をたどってしまうといくことを忘れないでほしいのです。
*次回は、「妊娠初期の検査で何がわかるの?」です。お楽しみに。


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