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ノルウェー 白夜とオーロラの国 (全4回更新)

Episode4 自主性を尊重した教育

~お受験はなし!日々の積み重ねで評価~

のんびりした保育園時代

一日中太陽が昇らない極夜の期間が明け、太陽が顔を出したことを祝う保育園の太陽祭の様子。アットホームな雰囲気だ。

ノルウェーでは、多くの子どもが生後10ヶ月頃から保育園に通うようになります。私の住むアルタは、1年の半分は雪に覆われており、真冬の2ヶ月は太陽も出ませんが、保育園では外遊びが重要視されており、子どもたちは氷点下でも元気に雪の中を駆け回っています。

読み聞かせの時間や歌の時間などはありますが、日本の幼稚園のようにきちんとしたカリキュラムはありません。また行事も少なく、お遊戯会や学芸会といったものもありません。私の子どもたちが通う保育園では、年に数回、朝食や午後のお茶に両親や兄弟、祖父母が招待されます

連絡帳もなく、先生とのコミュニケーションは毎日の送り迎えの際の会話がメインですが、コミュニケーションが不足していると感じるようなことはありません。アルタは小さな町ですので、大規模な保育園でも児童数は50名ほど。私の子どもたちが通う保育園の定員は25名とこぢんまりとしています。そのため、スタッフのみならず、父兄同士のコミュニケーションもとても密で、私たち夫婦はそこがとても気に入っています。

1月に6歳になった娘は、今年が保育園最後の年です。保育園では、就学間近の子どもたちのために、週に1度、アルファベットや読み書きに親しむ時間が設けられています。日本では保育園のころから、静かに椅子に座って先生の話を聞く、という時間がありますが、ノルウェーの子どもたちはそんな体験はほとんどしていません。この就学準備の時間で、1年生になったときに先生の話がしっかり聞けるようにするようです。

一日中太陽が昇らない極夜の期間が明け、太陽が顔を出したことを祝う保育園の太陽祭の様子。アットホームな雰囲気だ。

習い事は遊びの延長

地域のスポーツクラブによるスケート教室。費用も安く、気軽に参加できる。父兄のボランティアに支えられている。

5歳くらいになると、習い事を始める子どもも出てきます。地域のスポーツクラブや市の文化センターなどで、子ども向けの教室を開催しており、サッカー、ハンドボール、スキー、スケート、ダンスなどを習うことができます。私の住むアルタには、水泳とベリーダンスくらいしかありませんが…。

ノルウェーの習い事は、遊びながらスポーツや芸術に親しむというスタンスであり、日本のような熱心さは見られません。小さな子どもでも一人の人間として扱い、本人が望まないことを親がむりやりさせるということはなく、根性や忍耐といった言葉とは無縁です。

地域のスポーツクラブによるスケート教室。費用も安く、気軽に参加できる。父兄のボランティアに支えられている。

自分の将来は自分で決める

高校3年生が卒業間近にハメを外す「ルス」という行事。この時だけは、少々度の過ぎた行為も大目に見てもらえる。

子どものころから自主性を尊重するため、小学生の間は宿題の量もさほど多くはありません。中学生になると自分の将来について考えるようになり、進学したい高校に向けて勉強を始める子も出てきます。

ノルウェーには「お受験」はありません。進学の合否は、学校生活を通した成績の総合評価で決められるため、毎日の積み重ねが重要となります。進学を目指し、中学生、高校性は日々自主的に勉強に励んでいます。

ノルウェーの若者は、日本人の目にはとても大人びて映ります。誰もが自分の考えをしっかりと持ち、その考えをきちんと言葉にできるのです。小さなころから自主性を重んじる環境の中で育ち、自ら積み上げてきた様々な経験のたまものでしょう。

高校3年生が卒業間近にハメを外す「ルス」という行事。この時だけは、少々度の過ぎた行為も大目に見てもらえる。

2013年4月5日更新

プロフィール

御供理恵(みともりえ)

1975年群馬県生まれ。夫の転勤に伴い、オランダ、ルーマニア、韓国と引っ越しを重ね、2010年7月よりノルウェー・アルタ在住。日本を含む5ヵ国での妊娠経験を持ち、長女・実奈(みな、2007年生まれ)を日本で出産し、長男・憲(けん、2009年生まれ)を韓国で出産した。現在、第三子妊娠中。

難民センターでソーシャルワーカーとして働きながら、北極圏からさまざまな情報を日本に向けて発信すべく、ライターとしても活動している。

ウェブサイト:Arctic Rainbow

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