• 地球でSoDaTsu!!

    世界の子育て事情

  • 海の向こうを見渡してみれば、こんなに違う!妊娠、出産、育児事情。
    各国で暮らす日本人ママのレポート!!

オーストラリア マルチカルチャーな子育て(全4回更新)

Episode3 オーストラリアの子育て事情

~日本流+フランス流をオーストラリア流にアレンジ!?~

マルチカルチャーな子育て

子供達のほとんどの友達がダブルもしくはトリプル国籍を持っています。

子供達のほとんどの友達がダブルもしくはトリプル国籍を持っています。

オーストラリアは移民の国、それゆえ子育てにもマルチカルチャーが反映されます。私の周りにはオーストラリア以外の国で生まれ育った人が多いので、子育てのやり方もさまざま。例えば我が家では日本流に息子は長い間床に布団を敷いて添い寝で寝かしつけていましたが、西洋文化が背景にある家庭では赤ちゃんも小さい頃から自分のベッドで寝かされます。寝るまでそばにいてあげる、なんてことはせず、多くの家庭では自分で眠りにつく練習を赤ちゃんの頃から始めます。泣いてもタイミングをはかって見に行く程度で、抱き上げたりしないのです。我が家は息子も娘も夜何度も起きる傾向にあるので、毎日睡眠不足でぐったりした私は何度もそのやり方を試みてみました。しかし、やはりカルチャーの違いでしょうか。泣くのを放置することができなくて、結局添い寝や添い乳で何度もつきあってしまうのです。自分の育った国の文化というのは、海を超えても身に染み付いているものなのですね。

子供達のほとんどの友達がダブルもしくはトリプル国籍を持っています。

子供達のほとんどの友達がダブルもしくはトリプル国籍を持っています。

違いを見方にした育児

寝る前の本を読む時間はパパの担当です。

寝る前の本を読む時間はパパの担当です。

もうすぐ1歳の娘はまだ母乳をあげています。息子は2歳直前まであげていました。オーストラリアでは今、母乳育児が見直されていますが、それでも2歳近くまであげる母親は少なく、かなり驚かれました。夫の出身国フランスでは貧しい人が乳母をしていたという長い歴史と、多くの女性が産後3ヶ月でフルタイムで仕事に復帰するという現状から、母乳育児はあまり重視されていません。そのため義理の母は海を超えて会いにいくたびに、遠回しに断乳を勧めていました。国際結婚の多いオーストラリアでは、そういった夫婦間、義理の家族との間での子育てに対する意識の違いをどう埋めていくかがテーマになることも多いです。

日仏家庭の我が家では何をするにしても違うことが当たり前なので、むしろ「こうであるべき」という固定観念がありません。日本の育児のよいところと、フランスの育児のよいところを組み合わせて、さらにオーストラリア風にアレンジしてしまえばいい。という感じで、オリジナルな育児を心がけています。育児本も読んだ事はありませんし、周りの家庭と比べる必要もない。たくさんの文化が混じり合っているからこそ、のびのびとした育児ができるのではないでしょうか。

その考え方は脳性麻痺と診断された娘の育児にもとても役に立っています。周りと同じであることにこだわらず、娘のペースに合わせて育ててあげる。「こうあるべき」と縛り付けずに、娘の可能性を引き延ばしてオリジナルな人生を歩かせてあげる。それが無理なくできるのも、のびのびとしたオーストラリアの空気のおかげかもしれません。

寝る前の本を読む時間はパパの担当です。

寝る前の本を読む時間はパパの担当です。

マルチリンガルに育てる

大自然の中の都会で伸び伸びとした子育てができるシドニー。

大自然の中の都会で伸び伸びとした子育てができるシドニー。

我が家では私と子供達は日本語、夫と子供達はフランス語、そして夫婦間もフランス語で会話をします。家の外に出ると、多くの人とは英語で会話をします。もうすぐ4歳の息子は3カ国語をバランスよく流暢に使い分けます。マルチリンガルの家庭は我が家だけではなくオーストラリアではよく見られるのですが、どうしても子供の話す能力が英語に偏ってしまう所が多いようです。息子が産まれたときから我が家で徹底している事は、私も夫も、子供に対して使う言葉を一貫して自分の母国語にしているという事です。家庭内で夫が日本語を理解できなくても、私は子供達に日本語のみで話します。夫と子供達がフランス語で会話しても私は全部理解できるので、日本語のわからない夫はちょっとかわいそうなのですが(笑)、息子を妊娠中にたまたま出会った言語療法士に教えてもらったこのやり方が見事に成功し、息子は2歳の頃から3カ国語平等に話すようになりました。

脳性麻痺で言語の習得にも障害がでるかもしれないと言われている娘ですが、我が家では同じようにしています。たくさんの言葉を聞く事で、脳に対するよい刺激になるだろうと考えているからです。これから娘がどんな風に言語を習得していくかが楽しみです。

大自然の中の都会で伸び伸びとした子育てができるシドニー。

大自然の中の都会で伸び伸びとした子育てができるシドニー。

★次回は4月18日(金)更新。産後うつを町をあげてサポート?オーストラリアの子育て支援について紹介します。

2014年4月4日更新

プロフィール

マーシャン祥子

1979年生まれ。オーストラリア・マンリー在住。オーストラリア歴6年。家族構成/夫(フランス人)、長男2010年生まれ、長女2013年生まれ。

大学で管理栄養士を専攻して資格を取得後、東京の料理教室やレストランで働く。2005年フランス料理を学ぶ+サーフィンを満喫するために渡仏。料理とサーフィン修行の傍ら寿司のケータリングを行う。その後ドミニカ共和国でメニュー開発の仕事をしつつラテンダンスを学ぶ。モロッコでのスパイスの研究をするために半年間滞在し、同時にバンを改造して移動式寿司レストランを作る。旅をしながら料理を通じて各国で人と文化との触れ合いを楽しむ。2007年モロッコから渡豪。夫と出会い電撃結婚。2008年よりシドニーをベースとして出張料理と料理教室のDining Storyを展開。その傍らライターとして食、育児、教育、環境などの分野の情報をシドニーから発信している。

■Dining Story:http://www.diningstory.com.au/

トップページ