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廣戸聡一スポーツから導きだされた、新・子育て論 廣戸聡一
 
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赤ちゃんのタイプを感じて、
抱っこ上手になる。



抱っこしても、赤ちゃんがどうもしっくりきてないみたい。自分が抱くより、親や病院の助産師さんが抱くほうが気持ちよさそう……。そんな経験はありませんか? それは、もしかしたら、赤ちゃんの体の個性に合ってない抱き方をしているからかもしれません。

私は、さまざまなスポーツを体験し、指導し、整体などで体のことを学ぶうちに、人間は重心の位置によって、「4つのタイプに分かれる」ことを発見しました。簡単にいうと、自然に立ったときに重心がどこにあるのか、で違うのです。重心がつま先にあるのか、かかとなのか。さらにそれらの外側なのか、内側なのか、という4タイプです。それは、右利きや左利きがあるように、生まれ持ったタイプ、個性なのです。

ですから、タイプを無視して、「こう動かすべき」「このやり方が正しい」と押し付けても、能力は伸びません。しかし、タイプに合ったトレーニングをすれば、見違えるほど記録が伸びたり、できなかった動きがスムーズにできるようになります。

生まれつきですから、赤ちゃんも4タイプに分けられます。抱っこされたときに、もともとの体の重心が安定すれば心地いいし、逆に重心が不安定な抱かれ方をすると、居心地が悪い、ぐずぐずする、そっくり返って抱かれまいとする、というわけです。
「骨盤と首の付け根が安定すると体がラク」な赤ちゃんは、タテ抱っこでご機嫌になりますし、「お尻と太ももあたりが安定するとラク」な赤ちゃんは、少し横にして抱っこされるのを好みます。少し大きくなると「たかいたかい」をしますが、脇のすぐ下を持たれた方が心地いい子と、胴体全体を持たれたほうが心地いい子がいる。タイプで違うのです。

ですから、すべての赤ちゃんに合う抱っこの仕方というのはないんです。抱っこがうまい人、あやすのがうまい人というのは、抱っこしながら、「この子はこういう子だな」「こうすると安定するんだな」となんとなくわかって、その子に合った抱き方をしているんです。
教科書だけが正しいと思っていると「子どもはタテで抱く」、「ヨコで抱く」と決め付けてしまう。でも、それだと絶対に合わない子が出てきてしまうのです。

親は、この子をあやすために、どうしたらいいのか、どういう抱っこならご機嫌なのかを探ろうとする。そしてだんだん肌でわかっていく――。僕はそれが、コミュニケーションだと思っています。
抱っこする側にも、もちろんタイプがあるので、自分のタイプがわかっていれば、抱っこで腰が痛い、ということもなくなってきます。


子どもがぐにゃぐにゃしているのは、
自分の軸を見つけたいから。



子どもの最大の能力は、ぐにゃぐにゃ、ふらふらしていることです。大人はそれを落ち着きがない、と叱ったりしてしまいます。しかしそういう大人は、崩れた形のまま固まっているだけ、だったりします。斜めにひじをついて座ったり、椅子から足を投げ出して、のけぞっていたり。重力との対決をやめて、だらしなく落ち着いているだけだったりするのです。

子どもたちは一生懸命、重力に対抗しています。しかし、自分の「軸」がまだできていないので、その「軸」を見つけたくて、こっちに軸を作ってみたり、あっちに軸を作ってみたり。だから落ち着きなく、ぐにゃぐにゃしているのです。

よく、子どもが椅子の前の脚を上げて、後ろの2本脚だけで、ゆらゆらバランスをとったりしてるでしょう。はたから見ているとすごく危なっかしくて不安定ですが、やっている子は、それがしっくり安定しているのです。

こういうふうに、自分の体のおさまるところを見つけたい、という衝動は、すごく大切です。体を支える「軸」をぴたっと作ることにつながって、さらに体のまんなか、いわゆる「体幹」を使うことにつながるからです。そしてそれは、子どものころに思う存分に体を動かしておかないと見つからないんです。


あらゆるスポーツに共通する体幹の構え。
細胞のビートで揺れてゆるむ体幹とは。



どんなスポーツでも、体の真ん中の部分「体幹」の構え方は変わりません。たとえば、僕がいま、構えてみましょう。これ、何のスポーツをしているところだと思いますか? このままだとわかりにくいけど、ちょっとバットを握る真似をすると、「あ、打つんだな」と思うでしょう。ふりかぶると「投げるんだな」というイメージになるでしょう? 腕を横に振れば、ほら、テニスに見えませんか?

「体幹」の構えはまったく変わっていないのに、違ったスポーツに見える。スポーツだけじゃないですよ、弓を持ってこうすれば、チェロを弾いているようにも見える。道具が違うだけで、体がやっていることはたいして変わらないんです。ただ、道具を使うためには、慣れが必要なので練習をするというだけの話でね。

ダンスの世界では、この体幹部分を静止させたほうがいい、と言われていた時代がありました。しかし、今、それにはもう限界があると言われています。新体操でも、エアロビックでも、バレエでも、体幹が動くところ、動きが出やすい位置を見つけて、そこから動きに入らないといけない、という時代に変わってきました。

体全体を揺すって動きに入った方が、大きく見えるし、表現が乗せやすい。ちゃんと動かせば、そこに流れが生まれる。それがその人の雰囲気になる。「独特の雰囲気だね」とか「オーラを感じる」っていうのは、実はそういうことなんです。

日本では、長い間、この動きを「背骨を固めなさい」という言葉で、止めてしまっていました。だから動きが固くなって、手先だけになってしまった。たとえば「1、2、1、2」と2拍子を2ビートで取って、手を左右に振るだけの単純な動作では、あまり面白くないですよね。

マイケル・ジャクソンならどうするかというと、細かいビート、たとえば48ビートを使います。手先は「テケテケテケテケ……」と細かい動きをしながら、体は「1、2」と動かす。すると、体のまんなかの部分、「体幹」は必ずゆるみます。実際にやってみればすぐにわかります。

そういう細かいビートというのは、実は細胞のビートなんです。細胞自体が細かいバイブレーションを起こして、人間は生きているんです。ですから、体の内側からのバイブレーションを自分が感じていればいいことなのに、それを「きちっと固めなさい」と言って、止めてしまったんです。

実は、集中しているとき、体は止まってはいません。どこか揺れていることが多いのです。ですから、固まったように「きちっと」動かない姿勢っていうのは、あんまりよくないんです。
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