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スペイン 良くも悪くもこれぞスペイン(全4回更新)

Episode2 スペインの育児事情

~お昼は3時間!帰宅して親子で過ごす~

母乳継続の足かせは、早期の職場復帰

布おむつの浸透率が低いスペインでは店頭で布オムツ類は見かけません。そこで、英国やアメリカのウェブサイトを利用して布オムツやカバーを調達しましたが、その中でも、用途が広くて使い勝手がよく、乾きが早い日本の輪おむつは、使いやすさが断トツ!

出産直前に受ける問診に、「母乳をあげたいですか?」と聞かれる項目がありました。母乳で育てたい場合には、出産から退院までの2日間、病院で授乳指導があるからです。また、地域には、母乳で育てたい母親が集まる授乳グループがあります。そこでは、授乳に関する疑問を助産婦に投げかけたり、母乳をあげながら他のママとの交流を楽しみます。このように、スペインでも母乳育児を推進する土壌はありますが、働く女性のほとんどが産後およそ4ヶ月で職場に復帰するために、授乳期間は短めになりがちな印象です。

おむつ離れは早く、息子が通っていたグアルデリア(幼稚園・保育園)では、2歳児クラスの子どもの半分以上が、すでに昼間のオムツが取れていてびっくりしました。気候がいいので、トイレトレーニングがしやすいのかもしれません。一方、私は第1子にも2子にも布オムツを使いましたが、若い人に限らず、比較的年配の女性でも布オムツを知らない人が多いのは意外でした。園長先生までもが、「それは何?」と聞いてきたほど。伝統的なことが多く残るスペインで、これは意外なことでした。

布おむつの浸透率が低いスペインでは店頭で布オムツ類は見かけません。そこで、英国やアメリカのウェブサイトを利用して布オムツやカバーを調達しましたが、その中でも、用途が広くて使い勝手がよく、乾きが早い日本の輪おむつは、使いやすさが断トツ!

早くから集団保育

園庭で遊ぶ息子。5時にプレスクールが終わった後、毎日日が暮れるまで園庭で遊びます。

バレンシアに住み始めてまずびっくりしたことは、日中の公園で子どもの姿をまったく見かけないこと!聞けば、子どもの多くは早い時期からグアルデリアに入るのだとか。仕事を持つ母親は職場復帰に合わせて、また、母親が家にいる場合でも、子どもが1歳を過ぎるとグアルデリアに入れる人も多く、子どもには早くから集団生活に慣れさせた方がよいと考える保護者が多いように感じました。また、園庭の他にも近隣の公園に外出する日本の保育施設とは違って、スペインのグアルデリアでの外遊びは園庭に限られます。それもあって、昼中に子どもの姿をあまり見かけないことに初めは驚いたものでした。

園庭で遊ぶ息子。5時にプレスクールが終わった後、毎日日が暮れるまで園庭で遊びます。

幼稚園の送り迎えに1日4往復!

4歳クラスの授業“Dibujo Dirigido”(与えられたテーマに関連する絵を描く)クラス。この日のテーマは「家族」。息子が書いた家族…って、パパとママの指の数が多すぎる(笑)!

グアルデリア(幼稚園・保育園)の時間帯は、朝9時から12時までと、午後3時から5時まで。つまり、子どもは正午に一度帰宅してお昼ご飯を食べ、また3時に教室に戻って、5時までをそこで過ごします。両親の職場が遠くてお昼に帰宅できない場合は、祖父母が迎えに来て、祖父母宅でランチをすることも。他国に比べて、昼の時間に家族一緒に食事をする習慣がまだ根強く残っています。

午後の2時間の授業のために3時間休んでまた戻る、その間延びした時間の使い方に始めは戸惑いましたが、慣れてくると、日中時間を二つに区切って用事ができるのでかえって効率的に動けるし、昼間に家族で過ごせる良さを発見。ただ、中休みが入るとはいえ、朝9時から5時という時間帯は、小さい子どもには長すぎる拘束時間だと感じています。ちなみに、こうなると送り迎えは一日に4往復!これはけっこう大変です。

4歳クラスの授業“Dibujo Dirigido”(与えられたテーマに関連する絵を描く)クラス。この日のテーマは「家族」。息子が書いた家族…って、パパとママの指の数が多すぎる(笑)!

宿題の多さも有名

昼食の一例。事前にメニューがまわってきてスープ、サラダ、肉、魚などの中から2種類好みのメニューを選びます

4歳クラスの宿題。宿題が多い&低年齢から宿題を出すのもスペインの学校の特徴。早い時期から自習する習慣ができる良い面もある一方で、保護者の中では、のちのちに勉強疲れがこないかとの懸念の声もあり…。

スペインでは授業時間が長く、宿題が多いのも特徴です。息子のプレスクールでも3歳から週1回のペースで宿題が出され始め、現在の4歳クラスでは週2回、英語とスペイン語の宿題を持って帰ってきます。また、子どもが小さいうちから英語を習わせたい保護者が多いです。ただ、英語への学習熱が高い一方で、地元の言葉であるバレンシア語への執着はもっと強い気がします。公立学校では、主要な授業をスペイン語で受けるか、バレンシア語で受けるか選択をしますが、地元の人の多くは、バレンシア語での授業を選択。地方の帰属意識の強さを感じます。

4歳クラスの宿題。宿題が多い&低年齢から宿題を出すのもスペインの学校の特徴。早い時期から自習する習慣ができる良い面もある一方で、保護者の中では、のちのちに勉強疲れがこないかとの懸念の声もあり…。

2013年11月29日更新

★次回更新は、12月13日(金)。ママ友ならぬババ友も!?スペインの子育てサポートの実態をレポート。

プロフィール

大田朋子

1976年神戸生まれ。ライター&プロジェクト・プロデューサー。同志社大学(商学部)卒業。アメリカ、ドイツ、インド、メキシコ、アルゼンチン、英国と引っ越しを重ね、2011年よりスペイン・バレンシア在住。英国人のパートナー&朔太郎(2009年生まれ)&ジュノ(2013年生まれ)の4人家族。

近年、“複数の国で働くノマドママ”として各メディアから取材される。人生モチーフは、“世界が拠点な生き方&世界が拠点な子育て”。共著に「値段から世界が見える! 日本よりこんなに安い国、高い国 (朝日新書)」がある。

世界が拠点な生き方&子育てサイト:http://tomokoota.wordpress.com/
大田朋子ツイッター:https://twitter.com/TomokoOta

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