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スペイン 良くも悪くもこれぞスペイン(全4回更新)

Episode3 スペインの育児サポート

~子育ては家族、親戚のチーム戦!~

祖父母が頼れる戦力

共働きも多いスペインでは父親も「参加」ではなく、当たり前のように子育てに関わっている気がします。

息子のプレスクールの授業参観でも、開催が週日の日中だというのにたくさんの父親が参加していました。

スペインでは、親や兄弟家族が近所に住んでいることが多く、身内が集結して子育てに必要なサポートにあたる傾向が強いです。というよりも、共働きが多いスペインでは、家族のサポートなしでの子育てはなかなか大変なのが現状です。

前回の連載でも触れましたが、スペインではお昼休みが長く、職場や学校から自宅に戻って昼食をとる習慣がまだ根強く残っています。とはいえ、職場の場所が遠いと、親は昼食に戻れません。学校には食堂があり、希望すれば給食で済ませることもできますが、公立であれ私立であれ、幼稚園や小中学校の給食費は1食6~9ユーロ(120~180ユーロ/月)と高額。祖父母の協力が得られるのであれば、昼食は自宅、または祖父母宅で済ませたいと考える保護者も多く、ここでも祖父母の協力は不可欠です。日本の学校のようにお弁当が持っていければいいのになあとも思うのですが、今のところ、スペインのほとんどの学校では、昼食持参は許されていません。

送り迎え一つをとっても、子どもが自宅に帰って昼食を食べるなら、学校と家との往復は一日4回!共働き夫婦にとっては、毎回送り迎えを自分たちですることは難しく、祖父母や叔父叔母など身内が手分けして請け負うしかありません。このように、子育て全般で、家族総チームが「分業」することで間に合わせている感があり、当然、子どもの父親もその一員です。スペインでは父親でもごく自然に子育てに関わり、大事な戦力の一つ!父親は「育児に参加するんだ!」と気負った感じでもなく、子供を育てていく過程で、自然に身内全体が子どもと関わるのが普通な雰囲気があるように思います。

共働きも多いスペインでは父親も「参加」ではなく、当たり前のように子育てに関わっている気がします。

息子のプレスクールの授業参観でも、開催が週日の日中だというのにたくさんの父親が参加していました。

暑さが厳しい時期は半日授業

また、公立の小学校のなかには、低学年だけではなく高学年でも、毎週金曜日は1時半から2時には授業が終わり下校します。夏休みは7~8月ですが、暑さが厳しい6月と9月も授業が半日で終わったりします。もちろん、その間、学校内で有料の学童保育がありますが、祖父母や兄弟家族に子守りサポートを求めるケースも多く、そこには、外部サービスは有料だけど、家族であれば無料、という経済的な理由も見え隠れします。

このように祖父母が孫の面倒を見ざるを得ないパターンも多いので、公園で付き添いのおじいちゃん、おばあちゃんとよく出会います。私も息子のプレスクールの校庭でママ友ならぬ、ババ友がいます。やっと退職したかと思うと孫の世話に追われる祖父母たちは大変でしょうが、祖父母世代からは学ぶことも多く、世代を超えたつながりができるのは嬉しいです。

家族が身近にいない人たちは…

長男とわたし。

ちなみに、双方の家族が近くにいない私たちのような夫婦は、必要な時には、ニニェラ(ベビーシッター)をお願いします。金額の相場は、地域にもよりますが、私が住むバレンシア郊外で1時間8~10ユーロ。学校の近くや近所でベビーシッターやお手伝いの貼り紙がよくされていますが、多くの場合、知り合いの紹介で見つけます。また、幼稚園でも学校でも、延長保育のサポートがあります。息子の通うプレスクールでは、週日の朝7時から夜7時までは保育サービスがあり、朝早く用事がある時や、就学時間の5時に迎えに行けない時はプレスクール内の保育サービスにお世話になっています。

お互いの親戚家族が違う国に住んでいる私たちは、子育てを自分たちでやりくりするしかなく、身内のサポートを最大限に得ている友達家族に比べると、夫婦だけでがんばるしかないことも多々ありますが、それでも日本と比べるとベビーシッターやお手伝いさんを雇いやすい環境かなあと思います。

※1ユーロは約140円(2013年12月現在)

長男とわたし。

2013年12月13日更新

プロフィール

大田朋子

1976年神戸生まれ。ライター&プロジェクト・プロデューサー。同志社大学(商学部)卒業。アメリカ、ドイツ、インド、メキシコ、アルゼンチン、英国と引っ越しを重ね、2011年よりスペイン・バレンシア在住。英国人のパートナー&朔太郎(2009年生まれ)&ジュノ(2013年生まれ)の4人家族。

近年、“複数の国で働くノマドママ”として各メディアから取材される。人生モチーフは、“世界が拠点な生き方&世界が拠点な子育て”。共著に「値段から世界が見える! 日本よりこんなに安い国、高い国 (朝日新書)」がある。

世界が拠点な生き方&子育てサイト:http://tomokoota.wordpress.com/
大田朋子ツイッター:https://twitter.com/TomokoOta

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